堀田季何『惑亂』(書肆侃侃房)

惑乱

従兄弟の堀田季何さんが、書肆侃侃房の新鋭短歌シリーズより、第一歌集『惑亂』を出版されました!

出版にあたって、十代半ばから約二十年のあいだに作った数千首のなかから激選されたとのこと。
日々の心境や日常の機微を繊細な感性ですくいあげつつ、古今東西、縦横無尽にイメージを飛躍・展開させていく歌風は、長く国際的な環境で過ごしてきた季何(キカ)さんならでは。
磨きあげられた語彙や、随所に織り込まれる古典文学の知識の豊富さには圧倒されます。
たとえ死について詠いながらも浮かびあがってくる情景は寓話的で、ページを閉じたあとは、どこか遠くの国まで旅してきたような気持ちになりました。

二歳年上の季何さんとわたしは、育った環境も違えば住んでいた場所も遠く、会ったことは十指に数えるほどしかありません。
にもかかわらず、そのわずかな時間は、時が経ったいまもふしぎな色合いを保ったまま心に残っています。
いっしょに過ごしたのが、夏休みの祖父母の家だったり、親類の法事が執り行われているお寺だったり、バブル期の表参道や二子玉川だったりと、非日常的な場所だったからかもしれません。
なかでも季何さんの通っていた学校に連れて行ってもらった経験は、田舎の小学生だったわたしにとっては鮮烈で、『深海魚チルドレン』で主人公の真帆が潜入したインターナショナルスクールの場面は、そのときの記憶をもとに書きました……などと、いまでも取り出したくなるような思い出はつきません。

惑乱_表紙

表紙(帯付き)。
象徴的な装画の描かれた白に真紅の文字と帯が映えています。
序文は俳優の平岳大さん、解説は歌人の大塚寅彦さんがお書きになっています。

加藤治郎さん、東直子さん監修のもと、気鋭の若手歌人たちの歌を世に送り出す「新鋭短歌シリーズ」からは、講談社児童文学新人賞出身の陣崎草子さんも歌集『春戦争』を出されています。

小説と詩歌の世界、遠いのか近いのかよくわかりませんが、なぜか縁あって、お互い言葉を使って創作する場所へたどり着いてしまいました。
すでに短歌・俳句の世界で活躍中の季何さんの歌が、こうして一冊の歌集にまとめられ世に出るのはとても喜ばしいです。

これからの活躍を心より楽しみにしています!

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